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感染症

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感染症の法律

これまで感染症といえば法定伝染病が定められていて、発症した場合は強制的に隔離されてきました。これは1887年に定められた「伝染病予防法」によるもので、法定伝染病(コレラ、ペスト等11種)、指定伝染病(ポリオ等3種)、届出疾患(インフルエンザ等13種)が定められていました。梅毒など4種の性病は性病予防法で、エイズはエイズ予防法によって対策がなされてきましたが、1999年4月から新しい法律が施行され、大きく変化しています。「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」いわゆる「感染症新法」と呼ばれるもので、これによってエイズ予防法、性病予防法は廃止になり、検疫法と狂犬病予防法が改正されました。結核法はそのままで、食中毒に関するものは食品衛生法なので行政の管轄は別です。この新しい法律が必要になった背景には、新しい感染症の登場や環境の変化に対応する事が必要になった事があり、大きな違いとしては予防をより重視していることと、人権に配慮する様になった事です。具体的には感染症を1類から4類に分け、1類や新しい感染症は入院しなければなりませんが、2類では感染の恐れがなければ通院治療も可能、入院勧告によって患者の意思が尊重され、強制入院は72時間以内というように、患者の人権に配慮されるようになりました。感染症の分類と対応の仕方は下表のとおりです。
 
感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律
第1類
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ熱、ラッサ熱、
危険性が極めて高い原則として入院
第2類
急性灰白姉炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフス
危険性が高い状況に応じて入院
第3類
腸管出血性大腸菌感染症
危険性は高くないが集団発生の恐れがある特定業務への就業制限
第4類
アメーバ赤痢、エキノコックス症、黄熱、オウム病、回帰熱、急性ウイルス性肝炎、Q熱、狂犬病、クリプトスボリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性連鎖球菌感染症、後天性免疫不全症候群、コクシジオイデス症、ジアルジア症、腎症候性出血性熱、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風疹症候群、A群溶血性連連鎖球菌咽頭炎、急性出血性結膜炎、水痘、手足口病、炭疸、ツツガムシ病、デング熱、日本紅斑熱、日本脳炎、乳児ボツリヌス症、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性陽球菌感染症、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、ブルセラ症、発疹チフス、マラリア、ライム病、レジオネラ症、インフルエンザ、咽頭結膜熱、感染性胃腸炎、急性脳炎(日本脳炎除)、急性出血性結膜炎、クラミジア肺炎、細菌性髄膜炎、伝染性紅斑、成人麻疹、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖形コンジローム、突発性発疹、百日咳、風疹、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナ、麻疹(成人麻疹除)、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色プドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角結膜炎、淋菌感染症、流行性耳下腺炎
 
必要な情報を公開することで発生や拡大を防止すべきもの発生動向の把握・情報提供
 
未知の感染症は第1類に準じる
 
 
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コンプロマイズド・ホスト
 
コンプロマイズド・ホストとは、本来ならばそうそう発症しないような感染症に、容易に感染しやすい人(=宿主)の事を指します。感染症の発症は病原体と宿主との関係によって決まりますから、例え病原体にさらされても、全ての人が発症するとは限りません。いわゆる免疫力に左右されるのです。ところが今の日本人は長寿になりましたが、コンプロマイズド・ホストは増え続けています。老人は老化による免疫力の低下、乳幼児は免疫が未完成という事で病気にかかりやすいのですが、現代の日本ではその他にも様々なコンプロマイズド・ホストが生まれる条件力哺えています。高齢である事に加えて、多くの人が持病を抱えていますが、なかでも悪性腫瘍、糖尿病、肝炎、HIV、免疫疾患等を持つ人が増えている事は感染症に弱い人が増加している事を意味します。臓器移植を受けた場合もコンプロマイズド・ホストといえます。また、本来の意味から外れますが、日本の社会自体がコンプロマイズド・ホスト化しているといえるかもしれません。抗菌グッズの氾濫や過剰な清潔志向でかえって免疫が成立しなくなっている事が指摘されています。東南アジアの旅行者でも日本人だけがコレラになったという話はその一例でしょう。また抗生物質や抗菌剤の多様で、強力な耐性菌を増やしていることも、相対的に感染によるダメージを大きくしている事になります。
 
 
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インフルエンザウイルスの戦略

インフルエンザは毎年、程度の差はありますが12月から3月にかけて必ず流行します。医療機関で診断や治療を受ける人が毎年数十万人はいます。その中で症状が重く入院する人も1万人前後になります。ですから、症状の軽い人まで含めると数百万人が毎年発症している最も発症率の高い病気だといえます。通常のウイルスだとー度発症すると身体に免疫抗体を持ちますから、二度はかかりません。しかし、インフルエンザウイルスは表面の抗原の鍵穴を頻繁に変える能力がある為に、免疫が効かなくなり数年で再度感染してしまうのです。もう1つの特徴として、流行規模の大きさが挙げられます。この大流行の原因は、意外にもインフルエンザウイルスその物は病原性があまり強くない事があげられます。実はウイルスに感染しても半数の人は不顕性感染で、気付かずにウイルスを撒き散らしてしまうのです。ところが、インフルエンザは発症すると数日間は高熱が続き、免疫力を著しく低下させる為に、抵抗力が弱いと肺炎を発症させる事になるのです。特に高齢者にとっては非常に危険で、老人病院や老人施設等で集団感染で死亡者が出るのもインフルエンザウイルスの感染力の強さと病原性の低さが原因なのです。ですから、元々免疫力が低い高齢者や乳幼児にとって、インフルエンザは大敵なのです。インフルエンザの予防接種は高齢者にこそ必要なものでインフルエンザの死亡者の90%は65歳以上の高齢者です。現在ワクチン接種の激減のためにワクチンの生産量も30分の1に落ちています。もし、死亡率の高い新型のウイルスが現れても生産設備がない為に、日本は無防備な状況に陥っていると警告している研究者もいます。一部にワクチンに効果はないという意見や副作用を心配する声もありますが、感染防御効果と病状を軽くする効果がある事は確かな様です。また、バーキンソンの治療薬のアマンタジンがインフルエンザに効果があり話題になりました。ノイラミニダーゼ阻害薬などの副作用の少ないタミフル等は有効です。
 
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輸入感染症

輸入感染症とは海外旅行者や、輸入食品等によって外国から入ってきた感染症を指します。最近ではそれに加えて赤痢や腸チフス等、途上国等から再上陸する感染症、更に外国で罹患したSTD(性感染症)等も含める様になりました。先進国では衛生状態の悪さによる感染症は激減していますが、世界では現在でも毎年2000万人が感染症で亡くなっています。その内呼吸器感染症は400万人、消化器感染症300万人、マラリアも200万人にも上り、多くは発展途上国の人々です。一方、日本からの海外渡航者は年間1700万人、外国からの入国者も年間300万人と、地球上のあらゆる場所から人々が行き交い、そのスピードも益々早くなっていて、それは感染症も猛スピードで伝播される事を意味します。中でも途上国での経口感染は、安全な食べ物や水に慣れた日本人にとって極めて多い感染症です。A型肝炎、E型肝炎、ロタウイルス、コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス等がよく知られています。海外旅行では生水、生肉・魚、生野菜は危険です。また蚊等の昆虫からはマラリアを始め、デング熟、黄熟、フィラリア症等沢山の発熱性疾患が感染します。また日本では随分発症が無いので油断しがちなのが狂犬病で、狂犬病が発生していない国の方が極わずかです。キツネやアライグマ、スカンク、コウモリ等が持っていて、噛まれたりして発症すれば100%死に至ります。むやみに野生動物に近づかない事です。また川遊び等では住血吸虫に感染する事も。海外旅行をする時は、旅行先の情報をしっかりと把握して重々油断しない事です。
 
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温暖化とマラリア

地球温暖化が進めば温帯地域でも熱帯、亜熱帯性の感染症が増加すると予測されていますが、その増加の要因として蚊の北上があります。最近ではニューョークで鳥に寄生している西ナイルウイルスが蚊の媒介によって人に感染、発症し、死亡者が出ましたが、これにも温暖化が影響していると報告されています。蚊が媒介する感染症にはマラリア、デング熱、黄熟、日本脳炎、フィラリア等があります。その中でもマラリアが世界の最大の感染症で、人類の約半数はマラリアの汚染地帯に住み、毎年の感染者8億人、患者は約3億人、死亡者約200万人を出しています。マラリアはマラリア原虫で発症し、ハマダラカ属の蚊によって媒介され、刺された時に感染します。マラリア原虫は15℃以下になると生活ができなくなります。また、媒介するハマダラカの活動限界は10℃で、最も活発に動くのが25℃前後で、40℃になると蚊も原虫も活動できません。WHOによると温暖化で気温が3~5℃上昇すると、流行の危険地域は2割拡大し患者は年間5~8千万人増加すると予測しています。2050年には西日本地域や東京等の都市も平均気温が上がり、危険地域に入ると予測されています。マラリアは蚊の中にあるスポロソイド(オーシストという原虫の卵の中にある胞子)が人体に侵入すると、肝臓に入り1~2週間潜伏して増殖後、赤血球に侵入し破壊し、再び新たな赤血球への侵入、これを繰り返し原虫が増加し、その時に発熱するのです。一定量以上の赤血球が破壊されると黄疸を伴う貧血、破壊された赤血球の破片の増加によって肝腫、脾腫になります。とくにマラリアの中でも熱帯熱マラリアは症状が急激に重症化し、発病後5日以内に治療しないで放置すると脳を含めた全身機能不全を起こし死亡します。マラリアの治療薬、予防薬としてクロロキン等もありましたが、最近は薬剤抵抗性を獲得したマラリア原虫が出現してきています。温暖化がどの様な感染症を引き起こすのか、今後は厳重な監視が必要になってきました。
 
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C型肝炎

現在まで肝炎を起こすウイルスはAからGまで7種類見つかっています。その中でも肝臓がんや肝硬変になりやすいのがBとC型肝炎ウイルスです。以前からA型は経口感染、B型は性感染症として知られていましたが、C型は1989年にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体測定試薬の開発から始まった、HCV感染者の実態調査で明らかになったウイルスです。とくに中高年の感染率が高く、近年は肝臓と胆管のがんの死亡数が年々増加してきています。このHCVは性感染症でもありますが、医原病といってもよく1960年代まで行われていた予防接種の注射針の使い回し、1989年以前に行われた輸血や血液製剤等による感染が明らかになっています。このC型肝炎は一過性感染に終わる場合もありますが、急性肝炎を起した場合、50~80%は持続感染(慢性肝炎)に移行します。また、C型慢性肝炎は感染してから10~15年はトランスアミナーゼ(GOT、GPT)は正常域ですが、その間も肝臓の線維化は進行しています。その後肝機能の検査数値は異常を示す様になり、20~30年で肝硬変に移行し、肝臓がんの発症も増加していきます。中高年者で若い頃に数ケ月の間しつこい風邪様症状、食欲不振、悪心、嘔吐が続いた経験を持つ人はC型肝炎が疑われますので検査をお勤めします。どの型の肝炎でも慢性肝炎はトランスアミナーゼの数値が大きな変動を繰り返しながら、次第に肝硬変に移行していきます。ただ、途中で進行が止まり鎮静化する事もありますが、それから肝臓がんに移行する事もありますので経過観察が必要である事は変わりません。治療法としてはインターフェロンや抗ウイルス剤のリバビリンなどでかなり改善するようになりました。C型肝炎対策の一環として、インターフェロン治療の助成がありますので多くの方が治癒しています。助成がいつまで継続するかは分かりませんので治療開始をお勤めします。
 
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HIV感染症

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は細胞性免疫のいわば司令塔であるCD4陽性Tリンパ球細胞に感染して、次第にその細胞を破壊していき、免疫機能障害を引き起こす様になります。その為に次第に免疫不全状態が悪化して行き様々な日和見感染が起こり、重篤な症状が出てきますが、その状態をエイズと呼んでいます。ですからエイズとはHIV感染症の最も進行した状態だけを言います。日本では一時ほど騒がれていませんが、アフリカや東南アジア等世界的にみるとやはり最悪の感染症といえます。現在では治療法がかなり確立してきています。初期感染、無症状期、エイズ関連症候群、エイズ期の4期に区分されて、区分に沿った治療法が行われています。なにより初期の治療が大切なのですが、初期感染の時は一時風邪様症状がみられますが、自然治癒してしまいますし、数年から10年間は無症状期に移行していきます。ですから、よほど悪くなるまで気が付かない事が多いわけです。本人が感染に気づいていないので当然二次感染を引き起こしてしまいます。無症状の時期でもリンバ節ではウイルスが盛んな増殖とリンパ組織の破壊がじわじわ進行していることが明らかになっています。ですから、HIV陽性であれば、その時期に積極的な治療を開始しなければなりません。ウイルスの動態も解明され強力な抗ウイルス剤を投与する事で感染症の進行を阻止することが出来て、免疫状態の改善も可能になってきています。近頃あまり騒がれてはいませんが、大変危ない性感染症である事は間違いありません。
 
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非特異的抵抗性とは

身体がもつ感染に対する抵抗性は特異的感染抵抗性と非特異的感染抵抗性に分けられています。特異的感染抵抗性とは「免疫」の事で、「自己と非自己を識別し、非自己を排除する反応」と定義されているシステムです。要するに外から入ってきた特定の細菌やウイルスを敵として認識して攻撃します。このシステムには体液性免疫系と細胞性免疫系があり、お互いに補い、助け合って感染防御や生体の恒常性維持の為に働いています。もう1つが非特異的感染抵抗性というものです。これは外部から侵入しようとした病原体をどれでも機械的に阻止する機構をさします。例えば、波膚の扁平上皮細胞の外側には粘液腺や汗腺、皮脂腺などを分泌する粘膜層があります。侵入しようとする病原体は粘液中のリゾチームという酵素や皮脂腺からの抗菌力のある不飽和脂肪酸によって阻止されます。その他の分泌液では唾液、涙液、鼻水、胃酸、胆汁酸も抗菌の働きをします。また、気管上皮細胞の繊毛運動、消化管の蠕動運動、排尿運動等も病原体の標的細胞への定着を抑制する為に物理的に働きます。更に、細菌やウイルスが深く侵入して血液やリンパ液に乗ったとしても、血液中には殺菌活性のあるラクトフェリンやトランスフェリン等の蛋白質が待ち受けています。血液中やリンパ液中には、好中球や単球、マクロファージ等の食細胞が常時パトロールして病原体を攻撃しているのです。また、身体の直接的な防衛機構では無いのですが、皮膚の黄色ブドウ球菌や腸内正常細菌叢や腕のデーデルライン棹菌等の常在菌は他の病原菌の侵入を防いでくれています。
 
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人が広げる人畜共通感染症

抗生物質のおかげで感染症は制圧されたかと思われた矢先、1968年のマールブルグ病以来、ラッサ熱やエボラ出血熱を始め、30種類以上もの新興感染症が発生しました。最初に発生したのがアフリカ大陸等だった事でもわかるように、これらのほとんどが野生動物を宿主とする人獣共通感染症のウイルスによるものでした。これまで未踏の地だった所まで人間が深く入り込み、また活動範囲も全地球的になった為、眠れる獅子を起こしてしまったというわけです。しかも、先進国に棲んでいる野生動物も危険なウイルスなどを持っている事が分かってきて、人畜共通感染症は世界的な脅威となってきました。日本では多くの野生動物がペットや実験用として輸入されていますが、1999年の感染症新法施行でサルのエボラ出血熟とマールブルグ病が検疫対象に、また狂犬病法の改正でネコ、キツネ、アライグマ、スカンク等が検疫対象になりました。しかし実際はおびただしい種類と数の野生動物が輸入されており、それらはまったく野放しで、新しい感染症だけで無く狂犬病等、いつ発生してもおかしくないというのが今の日本の状態です。本来、野生動物は飼わない、触れ無いという事が無用な危険を避ける事になります。更にこれからは動物バイオテクノロジーの発達で、動物を利用して医薬品を作る事も多くなるとみられ、新たな人畜共通感染症の発生の可能性は少なくありません。
 
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食中毒

下痢といえば食中毒、食中毒は感染症、というイメージがありますが、食中毒と腸管感染症はイコールというわけではありません。確かに食中毒ではウイルスや細菌などが原因である事が多いのですが、添加物、容器等化学物質が原因の事もあって、感染症とは限りません。何かを食べた直後、急激、大量に患者が発生する様な場合、最初に感染症として対応される事が多いのですが、まずは毒物等の中毒の可能性が高いものです。いわゆる腸管感染症の場合、これまで赤痢や腸チフスは伝染病、腸炎ビブリオやサルモネラは食中毒というように伝染病予防法と食品衛生法と別々に扱われていたのですが、感染症新法からは1本化され、感染による食中毒は感染症新法の中では食品由来経口感染症として扱われています。食品衛生法も改正されて、赤痢やコレラも食品由来で発症すれば食中毒としても扱われます。さて腸管感染症という面から見れば、毒素型と感染型にわかれ、毒素型では黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌等があります。菌その物の感染というより、菌が作った毒素が口に入る事によって下痢や腹痛等が起こるものです。ボツリヌス菌の毒素は嚥下障害や呼吸困難等の全身性の重篤な症状を起こします。-方感染型では大腸菌やサルモネラ、カンピロバクター等が下痢や発熱を起こします。感染型の中でも感染した後体内で毒素を産生して症状を起こす物に腸炎ビブリオ、下痢原性大腸菌、ウェルシュ菌、セレウス菌等があり、O-157はこの生体内毒素型です。
 
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腸管出血性大腸炎

病原性大腸菌O -157は食中毒菌の中で感染力が特に強く、菌の数が10~1000個でも発症します。他の多くの食中毒では100万~10億個を口にしなければ発症しませんが、少量でも発症するのは胃酸に強い抵抗力を備えているからです。この菌の潜伏期は食べた量にもよりますが、1~10日と長く、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛等で一般的な食中毒症状を呈して始まります。次にベロ毒素を産出する大腸菌を腸管出血性大腸菌といい、これには6種類の大腸菌があります。その中でもO-157は特に強いベロ毒素を出して蛋白質合成を阻害して細胞を破壊します。まず大腸の下部腸管の細胞にダメージを与え、水分の吸収ができなくなり、そして、大腸の血管が破壊され出血性の鮮血様の血便となります。次に腎細胞が破壊され溶血性尿毒症症候群や血栓性血小板減少性紫斑病、更にベロ毒素が脳に達すると痙攣や意識障害等脳症を呈し、死亡する場合もあります。治療で下痢止め等を服用すると、腸内に病原菌を閉じ込めて異常増殖させてベロ毒素を大量に産生させる為、病気を悪化させる事になります。また抗生剤投与には効果があるという説と、抗生剤は菌を殺しますが、その結果、菌が菌体内に貯蔵しているベロ毒素を一度に放出するために、病状をかえって悪くするという説があります。治療は補助的で下痢による脱水を防ぐために輸液を与えることになります。予防は食中毒における基本を守ることです。O -157は70度で1分加熱すれば死滅するので、しっかり加熱調理して、できるだけ早く食べる事。肉を調理した後のまな板、包丁、ふきんの取り扱いに注意をする事です。また乳酸菌やビフィズ菌等腸内細菌叢を作る様に心がける事や、最近の研究では緑茶に含まれるカテキンがO-157を殺菌する事が報告されています。食前、食後には緑茶を飲むと効果がある様です。
 
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レジオネラ菌

2015年11月7日宮崎県日向市の温泉施設で発生したレジオネラ症の集団感染は7人の死者を含む約300人に達しました。風呂の湯を循環させる配管のろ過器等でレジオネラ菌が増殖したのが原因でした。レジオネラ症といえば、24時間風呂の循環装置で問題になりましたが、その原因であるレジオネラ菌はアメーバ等の原虫に寄生して土壌や河川、湖沼等自然界に広く生息し増殖します。酸や熱に強く、50度のお湯の中でも死滅しません。レジオネラ菌は生活菌で、普通の銭湯や温泉には必ずいるのですが、それがよどんだ水の中で爆発的に増殖し、加湿器、給湯設備、循環式の浴槽やジャグジー、打たせ湯、人工の滝や噴水等の水煙を吸い込んで肺に感染するのです。温泉施設では循環型や溜めたお湯を使う施設が多いので、浴場の換え水や清掃、残留塩素濃度等衛生管理が悪いとレジオネラ菌が繁殖しやすく感染の恐れがあります。厚生労働省は宮崎県の感染をきっかけに、全国の保健所に大型浴場の検査をする様に通知しました。レジオネラ菌による症状は、レジオネラ肺炎とポンティアック熱の2種があり、ポンティアック熱はインフルエンザの様な症状で治ります。レジオネラ肺炎は劇症と言われるほど悪化が早く、死亡率も高く、保健所に届出義務がある病気ですが、人から人へは感染しません。感染しても、体の抵抗力が強かったり、菌数が少なく、菌が弱っていれば、発熱や筋肉痛、けん怠感を感じる程度で約1週間位で自然に治る軽症の場合もあります。しかし、幼児や老人、糖尿病患者等体力、免疫力が落ちている人に感染すると注意が必要で、悪寒や高熱、激しい咳込みや胸に痛みを感じます。レジオネラ菌の感染であればマクロライド系、テトラサイクリン系の抗生剤を服用すれば、完治しますが、この菌の検出に2週間かかるので、症状から想定して治療する事が大切になります。初期治療を間違えると約1週間で死亡する事もあります。
 
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複合感染の脅威

毎年冬場が近づくと、新型インフルエンザの出現が恐れられています。いま新型インフルエンザが発生すれば、日本だけでも死者が数十万人も出ると予測されています。日本では1997年に対策検討委員会ができて、危機管理対策が始まりました。1999年1月~2月にかけて、三重県多度町の精神病院で入院患者19人がインフルエンザの集団感染で亡くなりました。保健所で詳しく調べたところ、患者の多くがインフルエンザの感染と共に、抗生物質の効かないMRSA(メチシリン耐性プドウ球菌)に同時に感染していて、MRSAの出す毒素でショック死する「毒素性ショック症候群(T S S : Toxic ShockSyndrome)」で亡くなった可能性が高いと分かりました。それまで日本ではインフルエンザの集団感染でTSSによる複数の死者が報告された事はなかったのです。 TSSは、手術後の傷に感染したMRSA等の細菌から出た毒素が全身をかけ巡り、ショックを起こす症候群の事です。「人喰いバクテリア(マンイーター)」と呼ばれる劇症型のA群溶血性連鎖球菌も、インフルエンザウイルスと同時に感染すると致死率が急上昇する事が、大阪大歯学部の川端教授らのマウス実験で確かめられました。A群溶連菌、インフルエンザウイルスの単独感染では、致死率は共に10%以下なのに、インフルエンザ感染の後にA群溶連菌に感染させると90%以上が数日で死んだのです。A群溶連菌は多くの人の咽頭部に常在しており、MRSAも今や保菌者は普通の人にもかなりの割合で見られ、これらを撲滅するのは困難なので、対策に苦慮しているのが現状です。
 
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増えているかびの病気

日本人の3大死因はがん・心疾患・脳血管疾患ですが、最終的に肺炎特にカビによる真菌性肺炎で亡くなるケースが少なくありません。カビの胞子は細菌と共に空気中を常に無数に飛んでいて、呼吸時に吸い込んでいますが、健康で免疫系が正常であれば何も問題はありません。気管の粘膜にある繊毛が働いてカビの胞子を排出し、肺胞にまで入り込んでもマクロファージが処理します。しかしがんや白血病など重い病気で体力が落ち込んでしまうと免疫力も低下し、侵入したカビを排除できなくなってしまいます。臓器移植で免疫抑制剤を投与されている人も同様で、一旦侵入したカビは発育が非常に早く、あっという間に肺全体に広がって、短期間に亡くなる事が多いのです。現在の医療現場で最も問題になっているカビの病気は、アスペルギルス症とカンジダ症です。アスペルギルス症は診断が難しく、薬も効きにくく、また肺や角膜や脳など身体中のあらゆる臓器に生えてしまうやっかいな病気です。またあらゆる人に一番身近なカビといえば、人の身体の中に棲みついている、カンジダ・アルビカンスです。7万種あるといわれるカビの中でも、このカビだけが人の口腔内や大腸等の消化管に常在する事ができるのです。カンジダ・アルビカンスは普段はいたって大人しく、病気を起こす事は無いのですが、抗がん剤等で腸粘膜が大きく傷付くと、組織内に侵入して全身に広がってしまいます。ところで30~40年前の日本ではカビの病気といえば水虫等の皮膚病が中心でした。医療の進歩により、抗生物質や抗がん剤・免疫抑制剤・ステロイド剤等の開発で、腸管の菌叢が破壊されたり、免疫力が低下した人に重篤なカビの病気が増えたのは皮肉な事です。
 
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治療上の感染を防ぐ

治療者から患者にうつさない、または患者が持ち込む病原体を他の患者にうつさないというのは常識ですが、対策には意外と抜け落ちている点がある様です。鍼による感染の可能性がある鍼灸師は、自身の身を守る為にもB型・C型肝炎の感染の有無について鍼灸師自身の定期的なチェックを行う等、常に心がけるべきです。万が一感染があっても早期治療すれば慢性化を防げます。治療院などの日常の感染防止対策として、患者が病院と治療院を往復する様な抵抗力の低下した人や高齢者が多い事からも、院内の衛生環境の維持のため消毒・滅菌は不可欠です。治療室はディスポーザブルのシーツや枕カバー等を利用していても、見落としがちなのは待合室です。患者がよく触れる受付のカウンターや長椅子やトイレ等は患者の手による汚染度が高いとされています。また靴を脱いでスリッパに履き替える治療院では、スリッパの足の接触面が汚染されるので、消毒剤とエタノール配合のスプレーを噴霧後、直射日光下で乾燥させるといった注意が必要です。また往診治療をしている治療者が注意しなければならないのが、ヒゼンダニによる疥癬です。このダニは指の間や手関節、手掌や外陰部の角質にトンネルを掘って進み、産卵する為に非常に痒く、また治療も困難です。免疫抑制剤を使う患者や老人に重症感染がみられ、これをノルウェー疥癬と呼んでいて感染力が非常に強いので要注意です。施術者は特に入念な手指消毒は欠かせませんが、洗面器に消毒液を入れておいて何度も使用する、備え付けタオルを何度も使うというのは交差汚染に繋がるので行うべきではありません。手指は抗菌剤を含む石鹸や消毒剤を使用して、直ぐ流水でよくすすぎ、使い捨てペーパータオルを利用するといいでしょう。
 
  • 所在地〒259-1137 神奈川県伊勢原市笠窪383-3
  • アクセス小田急線 鶴巻温泉駅より徒歩8分
  • 責任者溝口 潔
  • 営業時間9:00~19:00 / 年中無休
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