神奈川の鶴巻温泉治療院は医師も推薦する気功治療院です。

症状別ページ

骨格筋

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エネルギーと筋肉
 

筋肉の運動にはエネルギーの持続的な供給が必要です。筋収縮の直接的なエネルギー源はリン酸化合物のアデノシン三リン酸(ATP)ですが、筋細胞内には極めて微量しかありません。筋収縮を持続的に起すにはエネルギーをつぎ込んでATPを再合成する事が必要です。ATPの再合成はリン酸化合物のクリアチリン酸がクレアチンと燐酸とに分解する時に出るエネルギーを使っています。また解糖系(乳酸系)では炭水化物(グリーゲンやグルコース)が解糖をするとATPと乳酸が生成されま。この内クリアチリン酸と解糖系による再合成は酸素を必要とし無いので無酸素による筋収縮が可能です。この反応は細胞質で起こります。しかし、無酸素系は持続時間としてはATP系は約8秒で解糖系が約33秒で合せても僅か約40秒程度に過ぎません。ですから持続的な運動にはもう一つのエネルギー供給系である有酸素系がある訳です。この酸化系ではもちろん酸素を必要としますので、有酸素系あるいは好気的エネルギー供給系と言い炭水化物や脂肪を二酸化炭素と水にまで分解する時に出るエネルギーを使ってATPを再合成します。この反応は細胞内のミトコンドリア内で起こります。筋肉の持続的な力はこの細胞内のミトコンドリアの数と大きさにより、持久力に優れた遅筋は速筋に比べてミトコンドリアの数と大きさがはるかに勝っています。この三つのエネルギー供給系がバランスを保ちながら滑らかな筋肉の運動を支えているのです。


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筋肉と腱の断裂
 

筋肉両端の腱の骨付着部分を顕微鏡で拡大して見ると、まるで沢山の針の東が骨に突き刺さる様に食い込んでいます。この形状は腱が筋肉の微妙な張力を骨に伝えるのに、腱線維1本1本の直径が小さければ小さいほど効率が良い為だからです。また狭い範囲内で繋がる面積を広げ、総合力を強くする為でもあります。筋肉は筋線維という細胞から出来ていてエネルギーを消費して収縮しますが、腱はコラーゲン緯線とその中に散在する線維細胞もしくは線維芽細胞からなり、強靭ですがほとんど収縮しません。腱は栄養や酸素をあまり必要としないので、血痕の供給はほんの僅かで済みます。ところで筋線維の束の幾つかが切れた状態が一般に肉離れと言われています。急に走り出そうとした時に、ふくらはぎや大腿に激痛を伴い動かせ無くなる事があるのですが、原因は筋肉の一部が周りの筋との協調を無視して過剰に収縮して断裂してしまうからです。筋線維は普通同じ高さで切れずに少しずつずれて切れるので、切れ口が解離すると言う事はありませんが、切れた部分では内出血を起こし後に炎症を起こします。肉離れは手術を要する事はなく、安静にしていれば自然に治っていきますが、腱の断裂となるとそうはいきません。腱は筋肉と違って線維が同じ高さで切れる事が多く、筋肉の収縮に引っ張られて断裂部が解離してしまうので、多くは手術をして繋ぎます。運動会等でよく起こるアキレス腱断裂は、ウオーミングアップ不足か疲労による下腿三頭筋の異常収縮が原因です。

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蛋白質で筋肉をつける
 

筋肉を付ける時は激しいトレーニングをして、2~3日は楽なトレーニングをするハード・アンド・イージーが最も効果的と言われています。トレーニングをして筋線維の微細な構造が壊れると成長ホルモンの指令により蛋白質を材料に修復されます。この修復によって回復した筋肉は傷つく前より筋線維が太く筋力も前より強くなりますが、その修復には2~3日かかり、これを超回復と言います。また材料となる蛋白質を摂る量や運動する時間も大切です。蛋白質の必要量は通常体重1kgに対して1gとして考えますが、筋肉を付ける場合は約1、3~1.4倍が目安になります。食物中に含まれる蛋白質が消化吸収されてアミノ酸に分解され、それが全身の組織に運ばれて、細胞内のDNAの指令に従って様々な蛋白質を合成しますが、その合成を促すのが成長ホルモンです。成長ホルモンは運動という刺激で分泌が多くなるので、筋肉を付けるには食後3時間後に運動をするのが良いのです。これは摂取した蛋白質がアミノ酸になって組織に行くに約3時間かかる為です(プロテインの場合運動直後)。また成長ホルモンは就寝して間もなくが最も多く分泌されるので、寝る1時間前に蛋白質を摂るのも効果があります。蛋白質を摂る時には体脂肪に注意し低脂肪、低エネルギーの食品を摂ります。更に一日蛋白質を150g以上摂ると身体に過剰な負荷がかかり腎機能が低下するので注意が必要です。

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骨格筋はデジタル
 

骨格筋は反射以外では運動神経からの電気刺激によって収縮します。1個の運動神経が支配する筋線維を運動単位と言いますが、その1運動単位の中の筋線維の数は筋肉の機能によって違いがあります。指や舌、眼球など精緻な動きが必要な部位では神経細胞1コ当たりの筋線維数が少なく、大ざっぱな動きで良い部分ではl個当たり多くの筋線維を支配するのです。例えば広頸筋ではl個の神経当たり25個の、前脛骨筋では560個以上の筋線維を支配すると言う具合です。ところで骨格筋線維は脳からの刺激を受けて収縮しますが、一つ一つの筋線維の収縮の強弱は、刺激の強弱による物ではありません。刺激を受けた筋線維は収縮しないか、収縮するかの違いがあるだけで刺激の度合いによって収縮の度合いが変わる訳では無いのです。筋線維の収縮が起こるぎりぎりの最小刺激を閾値と言いますが、その閾値に違すれば筋肉は最大の収縮をします。刺激がいくら大きくても収縮がより強く起こる訳では無いのです。もちろん実際の骨格の動きには強弱があります。これは、筋線維毎に刺激に対する閥値が様々だからです。刺激が弱ければ同値が低い筋線維だけが動きますが、刺激が大きくなれば同値の高い筋線維も加わり、収縮する筋線維の総数が増えて大きな動きに結び付くのです。骨格筋は様々な大きさの運動単位からなり、筋線維のタイプ゚や活動電位がどの様な頻度で発せられるかの違い等によっても動きにバリエーションが生まれるのです。

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インナーマッスル
 

骨格筋の中でも上腕二頭筋や大腿四頭筋等の大きい筋肉は、表面的にも、力を発揮する上でも“目に見え"ています。これら、身体を覆っている様な骨格筋をアウターマッスルと言い、これに隠れる様に関節付近にある小さな深部の筋肉群をインナーマッスルと言います。肩の周りでは棘上筋や棘下筋、小円筋、肩甲下筋などのローテーターカフ、腰の周りでは中殿筋、小殿筋、恥骨筋、長内転筋、外閉鎖筋、方形筋、梨状筋等です。これらのインナーマッスルは腕を旋回させたり腰を動かす為にアウターマッスルが大きな動きをする時に拮抗して働き、肩の関節や股関節を安定化させ、スムーズな動きを可能にするのです。例えば肩こりが僧帽筋の使い過ぎ等による物だとすれば、五十肩の場合は上腕骨と肩甲骨の位置を調節している肩のインナーマッスルが衰えて、アウターマッスルとのバランスが崩れ、上腕骨と肩甲骨がぶつかる様になって発症しているといえます。インナーマッスルの衰えだけで無く、アウターマッスルが強くなり過ぎても五十肩になる事があります。日常の動きの中でもスポーツのトレーニングの中でも気が付かずにインナーマッスルを酷使している事があり、くずぐすと治りきらない障害の要因になっている事も多いようです。かつてスケートの橋本聖子が原因の分からないスランプに長く苦しめられた事がありましたが、詳しく調べるとその原因は梨状筋の肉離れによる物だったそうです。このインナーマッスルのトレーニングにはチューブを使った方法があります。このトレーニングはいわゆる筋トレの様な負荷はありませんが、正しく行えば効果は高いと言う事です。スポーツマンだけで無く、五十肩や腰痛を抱えた人にとってもインナーマッスルのトレーニングは効果的でしょう。

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四肢の筋肉
 

四肢と言えば手足ですが、進化の過程で手は移動する為には使われ無くなり、より高度な動きを獲得しています。この上肢は2つの骨で(肩甲骨と鎖骨を合せて上肢帯)で結ばれています。重要なポイントとして背中は広背筋で、胸郭側は大胸筋、小胸筋で上半身が覆われている事です。アウターマッスルの浅い筋肉層である胸筋と背筋は全て上肢帯か上腕骨に停止しています。つまりお腹の部分を残して胴体にある表面の筋肉は全て手の動きに関係しているのです。また上腕の前面には屈筋群、後面には伸筋群がそれぞれ発達して、特に親指には様々な種類の筋肉が付いて、より巧緻な作業が出来る様になっています。これも胴体の表面の筋肉が全て腕に関わる事で可能になったのです。ところが下肢の方は、下肢帯(腸骨、坐骨、恥骨、全体で寛骨)が背骨の一部である仙骨と結合して骨盤を形成しています。下肢の筋肉は上肢と違って狭い骨盤の範囲から起こっているので、腸腰筋や大中小殿筋は大腿骨のほとんど前面に幅広く付き、特に内転筋は広く大腿骨に付着しているのです。ですから、下肢は上肢に比べて運動の可動域は狭くなっていますが、しっかりした下肢の筋肉群により直立歩行に適した形になっていて、手を更に自由にする事に貢献しているのです。

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内臓と骨格筋の反射
 

我々の治療の理論的根拠としてよく引用されるのが体性一内臓反射、内臓一体性反射などの反射理論です。特に内臓体性運動反射は内臓の疾患により骨格筋群に運動変化が表れる事で、骨格筋との関係が最も深いと言えます。少し詳しく言えば、内臓の異常が自律神経求心性線維を介して脊髄に伝わり、その近くの脊髄分節にある体性神経系運動線組を興奮させて骨格筋の収縮を起こします。例えば、胆嚢炎や胃炎等で臓器が刺激されると、腹筋や背部の筋肉が固くなりいわゆるコリが起こります。更に、筋肉や腱や関節にも深部感覚と関係する知覚神経線維があり、運動神経線維と一緒に神経束になっているので、筋肉のコリは深部感覚として圧痛を伴います。この現象は皮膚にも知覚反射の過敏な状態を引き起こすので皮膚の表面に感覚異常が起きます。この様な反射は治療をしていると日常的に経験しています。ただ、皮膚の知覚異常は皮膚分節(デルマトーム)として、割りとはっきり区分出来ますが、骨格筋の分節(ミオトーム)は、かなり曖昧になってしまいます。これは、筋肉の束を詳しく見ると実は同じ動きの為に働く筋線維も異なった筋分節から出て来ているからなのです。多くの筋は多節性で、二つ以上の脊髄断区から運動神経線維を受けているのです。この事からも筋の分節は交錯してしまい、内臓の異常が四肢に広がりを持つ事もうなずけるのです。治療法の中で手足を重視している物が幾つかあります。特に鍼灸治療の内臓疾患の改善では、経穴の重要なポイントが手足にあり、そのポイントで改善する事が可能になる訳です。

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筋肉の痛み
 

運動をした後に筋肉が痛くなる事はよくある事ですが、その痛みも色々です。運動中や直後に生じる即時性の痛みは、筋肉の収縮によって筋肉の血液が悪くなり疲労物質が溜まったり、筋線維から出るカリウムイオンが痛みの受容器を刺激する等の単純な痛みと考えられています。多くは暫くすると痛みは軽減しますが、痛みが続く場合は運動を中止すべきでしょう。一方遅発性の筋肉痛があります。これは運動の後数時間から数日も経ってから出て来る筋肉痛で、運動不足の人に多く見られる物です。この遅発性の筋肉痛は、伸張性の運動をした時に出る物で、等尺性や短縮性の運動では出ません。筋が大きく引っ張られた状態で、負荷が加えられるとこの筋肉痛が出やすく、筋肉の腫れだけで無く、筋力低下ももたらす様になるのです。痛みを感じる受容器は筋線維にある訳では無いので、こうした痛みは筋線維の傷害と同時に筋内談や筋外膜等の結合組織が傷付いた事にもよると考えられます。筋を伸ばす動きの中で筋線維や結合組織に無数の傷が付き、それが炎症を起こして傷みになるのです。また傷を回復する為に炎症が起こり、その為白血球が増えて痛みに結び付いていると言う説もあります。最もこの遅発性の筋肉痛の程度と筋損傷・筋力低下の程度には余り相関性が認められ無いので、痛いからと言ってトレーニングの効果が上がっているとは言えません。

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下肢筋肉は第2の心臓
 

血液を毛細血管まで送り出すには心臓の力だけでは無く筋肉のポンプ作用(ミルキングアクション=牛の乳搾り)が必要です。例えば上腕を曲げると上腕二頭筋が収縮して力こぶが出来ますが、その圧力は内部にも加わり、その力で筋膜の中を走る毛細血管も圧迫され、血管の中を流れる血液が押し出されます。逆に筋肉を伸ばせば、その圧力から解放されて血管が膨らみ血液を吸い込む事で循環しているのです。その為筋肉が第2の心臓と言われていますが、全身の骨格筋の約7割が下半身にある事から、脚が第2の心臓とも行われています。脚の位置は心臓から最も離れ、更に重力も加わる中で、血液循環出来るのは逆流を防ぐ静脈弁の働きもありますが、この筋肉による筋肉ポンプが重要な役目をしているからです。老いは脚腰からと言われていますが、運動不足や、老化の為に脚の筋肉が衰え、更に全身の筋肉量が減って来ると、筋肉ポンプの作用も低下して心臓に負担がかかり血圧の上昇にも繋がります。またエコノミークラス症候群が問題になっています。飛行機の座席に長時間座っていた為に足の静脈に血の塊が出来、歩きだすとその塊が血流に乗って肺の血管を塞ぎ呼吸困難や心肺停止を招く肺塞栓を起こすのです。その予防は機内で足を動かして血流を良くするのです。筋肉は身体を動かしたりするだけで無く、血液の循環にも重要な役割があるのです。

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呼吸と筋肉
 

内臓は自律的に動いていますが、例外的に肺臓だけは骨格筋の力を借りなければ呼吸運動が出来ません。この肺は元々発生の過程で内臓由来の鰓腸(さいちょう)の壁が少しづつ膨らんで行き、風船玉の様になって、その壁の内臓筋はほとんど機能出来無くなり肺自体が伸縮出来無くなった為なのです。これの肺が出来て行く過程は海から陸に上がる進化の過程と一致しています。ですから陸上の動物は、頚から胸にかけての骨格筋を代替的に使う事になったのです。この運動を円滑にする為に胴体を膨らませて内部に陰圧を作り、これによってスムーズに空気を呼び入れて、次ぎに胴体を収縮させて陽圧を作り、肺の弾力性によって空気を追い出す様に変わって行ったのです。哺乳類は更に胸郭自体を広げたり、収縮させて、つまり肋骨が内外の肋間筋によって上下する胸式呼吸と横隔膜を上下させる腹式呼吸が出来る様になったのです。胸郭を広げる筋肉群として胸鎮乳突筋、大胸筋、小胸筋、僧帽筋があり、胸郭を下げる筋肉として外腹斜筋、腹直筋等があります。また腹式呼吸の横隔膜は胸郭の下に位置していますが、支配神経は頚神経です。これは横隔膜が頚部に発生し、それが発生の途中で下降した事を示してます。ですから、横隔膜は骨格筋由来の物なのです。慢性的な肩こり等で胸郭の運動が悪くなると呼吸に影響を与える事は当然の事です。ですから現代人は腹式呼吸をしっかりマスターする事が大切な訳です。特に女性の方は子宮もあり腹腔の容積が小さいので胸式呼吸が多く、ある程度修練しないと身に付きません。

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筋線維は増える
 

トレーニング等によって筋力がアップするのは、1本1本の筋線維が太くなるからだとみなされていました。いったん出来た筋線維は核分裂が起こりませんから、筋線維は太くなる事はあっても数が増える事は無いと考えられていたからです。しかし、実は筋線維も増殖する事が分かっています。その主役となるのがサテライト細胞です。サテライト細胞とは筋線維を包む膜にある、いつでも筋線維になる事の出来る予備の細胞です。人が胎児の時、筋の素となる筋芽細胞がいくつも合体して1個の筋線維になって行くのですが、その過程で筋線維になる事が無く残ってしまった筋芽細胞がサテライト細胞なのです。ですから筋線維は多くの核を持っていますが、サテライト細胞はくっ付きそびれた筋芽細胞のままなので、核は1つしかありません。そのサテライト細胞は普段は何事も無く大人しくしています。トレーニング等によって強度の負荷が筋にかかると、筋は断裂等の傷害を受けます。すると成長因子が出て筋線維やサテライト細胞に信号を送ると、サテライト細胞は蛋白質の合成を活発にして成熟して行くのです。このサテライト細胞は新しい筋線維になる事もあれば、既にある筋線維とくっ付く事もある様です。サテライト細胞はある程度核分裂するものの、回数に限りがあって老化と共に数は減って行きます。

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筋肉と遺伝子ドーピング
 

オリンピックを始め大きな競技大会では、筋肉増強剤等不正薬物を使用する一部の選手がこれだけ検査が厳しくなった今も検出される選手が時として出ます。筋肉増強に使われるのは主に蛋白同化ステロイドホルモンや男性ホルモン、あるいは性腺刺激ホルモン等です。これらの禁止薬物が摘発されれば、また新たな薬物とそれに対する新たな検査法の開発とのイタチごっこが繰り返されています。ところが近い将来、選手が遺伝子治療を受ける様になると、検査では検出出来ない時代が来ると言われています。遺伝子治療は現在ほとんどの先進国で研究が進んでいて、例えば病気を治療するのに今までは薬を投与していた代わりに、生体が病気と闘うのに必要な蛋白質を体内で作るメカニズムを誘発します。つまり新たな蛋白質を作る人工遺伝子を体内に投与すれば、生体は病気の元となった欠落した遺伝子を補おうと働くからです。筋肉増強に用いるには、その入工遺伝子を筋肉に直接注射する事でよく、筋線維は人工の遺伝子を取り込み、通常の遺伝子群に加えるのです。注射は1回で効果を発揮し、しかも人工還伝子が作り出す蛋白質は通常の蛋白質と同じなので、不正を発見する事は困難です。人工遺伝子を検出するには、その遺伝子の塩基配列を知っている事と、それを用いた選手の人工DNAを含む組織のサンプルが無ければ不可能です。大会前の選手に筋肉組織を提出させる事は困難なので、結局遺伝子ドーピングは見つから無いと言われています。

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短距離ランナーの調整法
 

筋原線維はミオシンとアクチンの蛋白質で構成され、その相互作用によって収縮します。そのミオシンの分子の内、重鎖と呼ばれる部分が機能的な特性を決めている事が研究で分かって来ました。重鎖には3種類あり、最大収縮度で比較すると最も遅いI型線維である遅筋線維、その10倍の速さで収縮する最速線維と、その中間速度の筋線維の2種類を含むⅡ型の速筋線維があります。世界レベルの短距離走者の筋線維割合は遅筋が20%、速筋は中間速度が45%、最速線維が35%です。逆に遅筋線維が90%の人はマラソン選手に向いています。短距離ランナーには最速線維が重要ですが、その線維を増やす方法があります。ウエートトレーニングの様な負荷を繰り返しかけると最速線維が減り、中間遠度の線維に転換します。激しい運動を約1か月以上続けると最速線維は完全に中間速度の線維に変わり、運動を止めると今度は増加した中間速度の線維は最速線維に逆戻りするのです。しかし最速線維の相対量は運動を止めると3か月後には元の量の約2倍に増え、その後元の量に戻ります。この最速線維のオーバーシュート現象(度を超えて出来る現象)のメカニズムはまだはっきりと分かっていませんが、トレーニングをして中間速度の線維を増やし、大会のスケジュールに合わせトレーニングの量を減らして最速線維が多くなる調整法をするのです。

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人体の再生
 

怪我や病気で肉体の一部が失われた時、人体が再生するには形の再生(形態再生)と働きの再生(機能再生)があります。肝臓の様に半分以上取り去っても形態や機能が再生する組織は少なく、大きく欠損すると形は整える事が出来ても、機能の回復は難しいのが現状です。特に筋肉は失われた部分が自己再生する事は無く、自分の身体の他の部分から移植したとしても運動機能は回復出来ません。筋肉は栄養血管と運動神経が無ければ元通り動く事は出来ず、現在の医学では血管は筋肉ごと移植出来ても運動神経は移植出来ないからです。しかし、例えば指や手首を切断した様な場合、切れて直ぐ等条件が揃えば元通りに動かす事は可能です。血管と神経を手術で繋げば、血管は活着し、神経は末梢側は死にますが15cm程度なら中枢側から新しく伸びて行くからです。筋肉に比べて筋膜や腱はコラーゲン線維で出来ていて、血管や栄養もそれほど必要としない事から移植は簡単です。筋膜はやや伸縮性があり腱は緻密な線維で伸縮性はほとんど無く、両方共丁度裁縫での布や紐のように用いられ、身体の中で穴の開いた部分を塞いだり、たるんで下がった物を引き上げたりします。顔面神経麻痺で麻疹して下がってしまった部分を吊り上げるのに、腱や筋膜の移植をして機能を回復させる手術はよく行われます。

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死後硬直
 

人が死んだら間も無く筋肉がこわばり、関節等が動かせ無くなります。いわゆる死後硬直とか死体硬直と言われる現象です。死直後の筋肉は一旦弛緩しますが、死後硬直は2時間位で起こり始めて6~8時間で全身に及びます。普通頭や顔面から起こり、上肢から下肢へと起こって行きます(ニステンの法則)が、CO中毒や衰弱死等の場合はまれに下肢から上肢へと起こる事もあります。最も強く硬直するのは10~12時間位で、それが48時間ほど続き、その後は硬直が無くなる緩解と呼ばれる状態になって行きます。この変化は気温等環境の状態や筋肉質かどうかの違い等に影響されます。死ぬ時に激しい筋肉疲労や緊張などがあると硬直が速くなります。弁慶の立ち往生等と言うのは即時性硬直とか強硬直性硬直等と呼ばれ、死亡と同時に急激に死後硬直が起こった物です。さて死後硬直は筋肉が収縮して硬くなるのではありません。生きている筋肉は伸縮に必要なエネルギーをATPから得ていますが、死亡するとそのエネルギーが滅少し、その結果筋線維のアクチンとミオシンが不可逆的に結合してしまうのです。その後腐敗が起こり、筋肉内の蛋白結合が破壊される為に緩解が起こり死後硬直は無くなって行きます。
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